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真綿の柔らかい風合い、草木染の温かみのある色合い、余分な力をかけずに優しく優しく時間をかけて織り上げられた織、どれをとってもうっとり見惚れてしまうそんな紬が手おりの中の手織りです。
作者である廣瀬氏が人にやさしい紬とは何か、を探求されて行き着いた究極の紬、触れればわかるその言葉の意味合い。

真綿糸がふわふわと出ている特徴的な反端の部分は、織り上げる際に反端にあえて糸を残し緯糸を通していくために出来上がった形となります。なぜ緯糸を反端から残して織っていくのか、それは経糸をたゆませた状態で機にかけ
て織っていくので通常のように緯糸をきちっと滑らせてしまうと糸がつってうまく織り上げられないためです。
経糸をたゆませて織り上げるため、通常の織物のように筬（おさ）をトントンとリズミカルに打ち付けていくことはできません。緯糸を通すたびに一回一回ゆっくり時間をかけてぐ、ぐっと糸を寄せ余計な力をかけずに優しく織っていくのです。
廣瀬氏の工房にお邪魔して間近で拝見した際も、通常の機織りの場と違った音で作業が進んでいました。
ほんとうにいいものを作ろうと思ったら作業効率やコストパフォーマンスを考えてはいけない、とおっしゃられていた氏のお言葉が今でも印象に残っております。
年に数反しか制作できない究極の紬をぜひご覧くださいませ。




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